いけばなボランティア:続けることのむずかしさ
これは、いけばな歴40年有余、ボランティア歴25年の大ベテランにお聞きした談話を元にまとめたものです。
これから、いけばなでボランティア活動に参加してみたいという方に、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
問題点
- 一人では肉体的にも負担が大きい。周りでからだを壊す人もいた。
- 希望者を募ったが、人選と人間関係の調整で苦労する。ボランティアに参加していないことで会話に入れなくなり、辞める人も出た。
- 「あの教室ではボランティアをやらされる」という、予期せぬ噂が広まることも恐れた。
経緯
- 特養老人ホームで、小さな社会奉仕として始める。
- 華道連盟の活動も積極的に行い、地域との結びつきを深める。
- 通信教育で、生涯学習インストラクター2級の資格を取得。
- 長年の実績が評価され、2年前に新たな施設でも委託を受ける。
メリット
- 作品は小さめのもの2点、入口を飾るやや大きめのものが1点で、生きた場での制作を体験できる。
- さまざまな人とふれあい、楽しみながらいけることができる。
- 花材費や交通費のほか、保険も保障され、安心して参加できる。
対応策
- 一人に偏らないようにグループを立ち上げ、年数制限などを規定した会則を作る。
- ボランティア先の条件を勘案し、経費の管理等も自分たちで行う。
- 単なる奉仕活動ではなく、いけばなの他流試合のような、“腕を磨く場”としての意識を持ってもらう。
技術を磨く場としても役立つ
「長く続けていると、いろいろな問題にもぶつかります。
一人で抱え込まず、まずは、4、5人で始めるのがいいと思います。明解なルールをつくって共通の認識をもって進めることが後々役立ちます。
プロとして、単なる社会奉仕としてではなく、有志の生徒さんと毎回真剣勝負でいけています。
そういう姿勢で臨めば、ボランティアはいけばなの技術を伸ばしていく場にもなる、と考えています。」
(東京在住・自宅教室主宰・談)