旅の途中 ON MY WAY
著●竹中麗湖
制作に3年、自らによる決意のプロジェクト
書店のいけばなコーナーに行けば、必ず竹中麗湖の本に出会う。とりわけ「簡単いけばな」などのハウツー物は名著として評判を博してきた。その根底には、物作りへの徹底したこだわりと丁寧さがある。
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今回はその類とは一線を画する。
教壇での長年の指導を退き、「ものをつくる」という原点に立ち返った末の新たなチャレンジ。
「自分に正直に、残された時間を使おう……会いたい人と会い、ものをつくることの歓びを共有したいという思いが一気に頭の中に広がっていきました(序文より抜粋)」
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そうして出会った人々の魅力が、ことばと瞬間瞬間の映像で浮き彫りにされる。折々の作品はそのシーンにゆったりと溶け込んでいる。
いけばなルポ? 花と人の自伝的特集?
ジャンルで語れない、ムックの姿を成した、いけばな作家による新たな創造物。
そこには、自由な精神で楽しく過ごした時と場を再現しながら、筆者しか語れない、いけばなへの想いと視点がしっかりと刻み込まれている。